九州大学経済学部
鷲崎研究室 (ゼミナール)
知の総合格闘技やります。
 昨年度から始まった「4ゼミ合同報告会」は,今年度も12月12日(日)に開催されました。
 「4ゼミ合同報告会」とは,九州大学経済学部の産業分析系に所属する4つのゼミ(実積・堀井・北澤・鷲崎ゼミ)が集って,1年間の研究成果を発表するインゼミです。日ごろ,実積ゼミ「ネットワーク経済の分析」堀井ゼミ「中国産業の実証分析」北澤ゼミ「近現代日本の産業社会史」鷲崎ゼミ「近世・近現代の日本経済史」を専門に研究しているなかで,
自分たちの研究内容を他のゼミ生に把握してもらいつつ,他ゼミの活動内容に対しても理解を示すことを目的としています。

 今回は第2回目の開催ということで,3年生が4年生から,昨年度の反省を踏まえつつ,ノウハウを引き継ぎ,発表から運営まで企画・実行してきました。とくに,インゼミ係として,その牽引的立場を進んで引き受けてくれた諸岡薫くん(堀井ゼミ),北山隆之くん(鷲崎ゼミ),遠藤怜子さん(北澤ゼミ),秋村裕太郎くん(実積ゼミ)には,この場を借りてお礼申し上げます。

 また,今回から,
産業分析系のオープンゼミという意味合いも兼ねて,来年度からゼミ活動を開始する現2年生3年次編入予定者にも観覧を呼びかけ,複数の学生さんが会場へお越し下さいました。日曜日にも関わらず,お足をお運び下さいまして,ありがとうございました。

 朝8時30分から夜6時30分まで長丁場となりましたが,このサイトから,
産業分析系ゼミ生における日ごろの努力と成果を少しでもお届けできたら幸いです。

 開 会 式

実行委員長の諸岡くん(堀井ゼミ)からの挨拶

世話役全般担当の北山くん(鷲崎ゼミ)から注意事項の説明


「では,まず注意事項について,右のスライドをご覧ください。」

4ゼミ合同報告会 ルールブック  (インゼミ係による決定)
産業システム講座4つのゼミから,7つのチームが出場し,1年間の研究成果をプレゼンテーションで競います。
堀井・北澤・鷲崎ゼミから2チーム,実積ゼミからは1チームがエントリーしています。
採点について
評価項目は,次の6つ。
 1. 発表はわかりやすかったか
 2. 結論の説得力はあったか
 3. スライド、レジュメの形式は整っていたか
 4. 論理的であったか
 5. 質疑応答の対応は適切だったか
 6. 発表にひきこまれたか
1チームの評価点
評価項目の6項目に,それぞれ5点満点で評価をつける。合計30点満点。
1チームの評価点は,全体の得点の平均をとり,5点満点で算出する。
 (例1) 北澤ゼミ①の合計獲得点数が240点(最高得点)だった場合
   240÷48(6項目×採点用紙8枚)=5点←北澤ゼミ①の評価点
 (例2) 実積ゼミ①の合計獲得点数が270点(最高得点)だった場合
   270÷54(6項目×採点用紙9枚)=5点←実積ゼミ①の評価点
採点用紙の書き方
採点用紙は1チーム1枚,1ゼミに1枚配布する。
 採点用紙の合計枚数:実積2枚+堀井3枚+北澤3枚+鷲崎3枚=11枚
→ゼミの採点用紙は,4年生・院生・留学生が記入。教員は,採点に関与しない。
→チーム,ゼミごとに代表者を選出し,話し合いのうえ代表者が得点を記入。
→自分の所属ゼミに対しては採点をしない。
報告時間について
1チームの報告時間
発表40分+質疑応答20分=報告時間60分
減点について
発表時間を40分としているので,長すぎたり,短すぎたりする発表には減点を課す。
37~41分→減点無し
上記より±1分ごとに,評価点より0.1点ずつ減点
※発表時間の管理は,インゼミ係が行う。
※規定の時刻より30秒を過ぎた場合,切り上げる。たとえば,41分30秒~42分29秒のときは,42分とみなす。
賞品について
1位 図書カード10,000円分
2位 図書カード5,000円分
3位 図書カード3,000円分
※上位3チームには,上記の賞品および賞状が授与される。

いまや遅しと待つオーディエンス

 4ゼミ・7チームのプレゼンテーション (発表順)
北澤ゼミ「芸術チーム」
「芸術と経済」
遠藤怜子,上妻春奈,谷口綾,津田唯一
「芸術と経済」…一見すると全く違い,反対の位置にある分野同士の関係性,および相互の影響について,斬新な切り口から迫った報告。とりわけ,①アートマーケットと②美術館経営の2点にケースを絞って議論を展開しました。
①に関しては, 投資対象とした扱った美術品の取引が,同時に芸術振興やアーティストに対する投資になりうる点,②に関しては,美術館が地域経済や市民生活に寄与する役割を果たすようになってきた点を訴え,
芸術と経済との相互間にプラスになる効果があることを提唱しました。

堀井ゼミ「観光産業チーム」
「中国人観光客誘致の現状と九州への誘致の可能性」
荒木春香,朱承方
九州および福岡における中国人観光客誘致の改善点を見つけ,さらに誘致するための政策を提言する報告。
誘致の政策提言として,①中国ドラマ(映画)ロケ地の誘致,②中国国内でインターネットを活用している若い女性ファンを対象に,ジャニーズ・コンサートの福岡への積極的な誘致を提唱。あわせて九州の魅力をうまくPRすることで,リピーターの確保を狙うという興味深い結論を導きました。

鷲崎ゼミ「チーム☆KID」
「オランダ通詞を通してみる江戸時代」
城戸諒治,市来真由美,岩切瑞輝,韓ゴヨ,斉藤和平,中村真莉,平岡佑基
9月の長崎合宿で長崎県立歴史文化博物館を見学した際,徳川時代の日蘭貿易で活躍した「オランダ通詞」という存在を認識。当時,海外情報を獲得するうえで不可欠な存在だった「オランダ通詞」について,これまでの研究をサーベイしながら,日蘭関係における情報の非対称性について,「ゲームの理論」を使って実証的な分析を試みた報告。
モデルケースから,日蘭両国間において「エージェンシースラック」や「逆選択のリスク」が存在したため,両国の「ナッシュ均衡」を探り,外交を円滑に行おうと尽力したのがオランダ通詞であることを示唆。

@twitter 「マイクのグリルボールは持たないでください」

RT: @twitter 「だからグリルボールをだな…」

今年の4年生は,マイク運びを担当。

「この質問に関しては,私がお答えいたします。」

昼 休 み
J 「去年に比べると,今年の報告,はっきり言って良くない?」
K 「えぇ,大変良いと思います。質問のレベルが上がったような気がします。はい。」
H 「いやぁ~,素晴らしいですわ~。アイム グラッド トゥー リッスン トゥー ゼアー リポーツ。」

昨年度報告した4年生(実積・鷲崎ゼミ)
後輩のために,よく集まってくれました。

堀井ゼミ「観光産業チーム」と支えてくれたみなさん

終わってホット一息の北澤ゼミ「芸術チーム」

満足のいく出来映えだった鷲崎ゼミ「チーム☆KID」

実積ゼミ「ヤレ ʅ(‾◡◝)ʃ ヤレチーム」
「周波数オークション導入問題 日本における電波割当の現状と周波数オークション実施について」
秋村裕太郎,垣替隆秀,清水佳祐
携帯電話の普及とスマートフォンの登場によるデータ通信量の増加により,周波数不足の深刻化に陥っている現在。そのため,早期に新しい周波数帯を開放することが求められています。そこで,周波数をオークションというやり方で各事業者に割り当てることが必要だと提言する報告。
イケメン・トリオの報告者たちが「スーツ姿に黒縁眼鏡」という出で立ちで揃え,ジャパニーズ・ビジネスマンっぽさを
ビジュアル的に訴えた点は,オーディエンスからも好評でした。

堀井ゼミ「メディア産業チーム」
「ネット社会の中で新聞産業は生き残っていくか」
諸岡薫,國定桃子
インターネットが普及する情報社会の中で,新聞産業がインターネットサービスを取り込んだ新たなビジネススタイルに活路を見いだしている点に着目,日米新聞社の経営状況とネット対応への現状,および中国の新聞業界におけるインターネットの影響とそれへの取り組みについて分析した報告。
日米の新聞業界がWeb情報への課金に乗り出していく中で,中国の新聞業界は課金に乗り出さない点を指摘,新聞業界における今後の経営スタイルについて検討を促しました。

北澤ゼミ「AOH25チーム」
「福岡の鉄道企業史」
秋山卓哉,綾部哲史,小川達哉,小野雄一郎,本田章太郞
高度成長,モータリゼーション,民営化……といった日本経済史上の出来事が,鉄道企業経営に対してどのような影響を与えてきたのか西鉄JR九州の2社を研究対象として分析を行った報告。
鉄道企業にとって,
多角化の意義は,①経営リスクの分散・低減,②複数事業の相乗的な収益拡大,③成長分野への投資という3点にあるが,仮に撤退したい事業があってもできない点に,公益を担う企業としての宿命があるという結論を導きました。

鷲崎ゼミ「T-STORY4チーム」
「IMPACT OF 人参 ~幕府の国産化に託す想い~ (1609~1787)」
赤坂透,北山隆之,辜天嬌,酒井誠,中村龍太,宮家彩紀,李紫
鷲崎ゼミ得意の寸劇(高知合宿編長崎合宿編)を用いながら,徳川期の日朝貿易によってもたらされた人参の数量的分析,および幕府によるその国産化に成功するまでの軌跡,その後の流通過程と価格の変遷について分析した報告。町触や物価指標などの一次史料を駆使しながら,「クイズ$ミリオネア」仕立てのシナリオをオマージュしたプレゼンテーションは,ある意味でオーディエンスに強烈なインパクトを残しました。

「きーたやまたーかゆきのちょーせんがはーじまるぅぅぅw」

オーディエンス,ややウケ。

司会のみのもんた:団長,1000万円をめざす解答者:北山。

パワーポイントのスライドも,ミリオネア風のこだわり。

ライフライン:会場にいる大親友・秋村くんにテレフォン。

 講評
今年度は,堀井先生から講評を頂きました。
昨年度に比べて,発表のレベルが向上しただけでなく,
質問のレベルが格段と上昇した点を評価。
それに加えて,順位では表現できない
「各班の持ち味の大切さ」をご指摘下さいました。

 集計結果と最終順位
順位 ゼミ・チーム名 評価シート
平均点
(A)
時間厳守
による減点
(B)
最終得点
(C)=(A)+(B)
1 鷲崎ゼミ チーム☆KID 3.42 0.00 3.42
2 北澤ゼミ AOH25 2.88 -0.10 2.78
3 北澤ゼミ 芸術チーム 2.58 0.00 2.58
4 堀井ゼミ 観光産業チーム 2.52 -0.10 2.42
5 堀井ゼミ メディア産業チーム 2.67 -0.30 2.37
6 実積ゼミ ヤレヤレ 2.46 -0.10 2.36
7 鷲崎ゼミ T-STORY4 2.85 -0.60 2.25
優勝した鷲崎ゼミ「チーム☆KID」
副賞として,図書カード10,000円分が贈られました。
準優勝の北澤ゼミ「AOH25」
副賞として,図書カード5,000円分が贈られました。
第3位の北澤ゼミ「芸術チーム」
副賞として,図書カード3,000円分が贈られました。
※各ゼミ各班の肖像権については,インゼミ係を通じて承諾を頂いておりますが,不都合ある場合にはご連絡下さい。
※念のため,このページのヘッダには,ロボット検索にヒットさせないためのタグを記載しております。

実積研究室ホーム堀井研究室ホーム北澤研究室ホーム|鷲崎研究室ホーム2010年度後期のスケジュール