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この演習課題は、近世日本の人口史料と商業史料、および地理情報システム(GIS)を利用して、徳川後期から明治前期の商業人口の地理的移動と商業・流通業の発展との関係を明らかにし、同時にその結果を江戸・横浜の都市システムの形成という空間経済学の範疇に位置付けることを目的とする。
本研究で対象となるのは、幕末維新期における江戸・横浜の問屋・仲間商人とその家族および奉公人である。2地点を考察するのは、当時の流通業が、世界一の人口規模を誇る江戸の都市問屋に代表される特権商人と、国際貿易と国内市場とをリンクさせる流通センターとしての役割を担う横浜における新興の在方貿易商人による二重構造を形成していたからである。
研究作業の第1段階は、GISに必要な属性情報を空間情報としてクロス集計でデータベース化し、他方で図形情報である古地図をデジタル化することにある。
研究作業の第2段階では、GISソフトが保有するデータベース機能を用いて空間情報データと属性情報データを結合させ、地図を表示して解析を行う。
研究作業の第3段階は、GISによる解析の結果から江戸問屋商人および横浜の新興在方商人の地理的移動が空間経済的にどのような意味があったかを検討する。具体的には、都市商人の停滞・没落と相俟って台頭してきた新興在方商人の分布の推移といった経営史的側面や、首都圏の拡大による都市化といった経済地理的側面についての説明が期待できる。
以上の結果とこれまでの研究成果より、徳川・明治期における商業人口の移動が江戸・横浜の国内流通業の経済基盤の発展に大きく影響を与え、東京を中心とする首都圏の今日の都市経済システムを構築する一要因となったことが実証される。本研究の結果は、他国の都市経済のメカニズム生成のプロセスと比較する上で、国際的にも有益だと考えている。 |
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